内部不正対策の新たなアプローチ:デジタル時代に求められる3つの転換点
企業における内部不正リスクは、テクノロジーの進化とともに複雑化しています。リモートワークやハイブリッドワークの普及により、従来の管理手法では十分な対策が困難になってきました。ブエナヴィーダ株式会社では、デジタル時代に即した内部不正対策として、新たな3つのアプローチを提唱します。
なぜ今、内部不正対策の見直しが必要なのか
変化する企業環境への対応の必要性
内部不正は従業員による意図的なものだけでなく、過失やミスによるものも含まれます。さらに、正社員以外にも契約社員や協力会社の従業員など、企業に関わる多様な人材全てが対象となります。
リモートワークの急速な普及により、企業のIT環境は大きく変化しました。これに伴い、従来の内部不正対策では対応が困難な状況が生まれています。ビジネス環境の変化速度が加速する中、その変化に柔軟に対応できる新しい対策アプローチが求められています。
外部攻撃と内部不正の違い
外部からの悪意ある攻撃は比較的検知しやすい一方で、信頼されている内部関係者による不正行為は発見が困難です。これは、正当なアクセス権限を持つユーザーによる行為が、通常業務と不正行為の区別がつきにくいためです。
ビジネススピードに対応する動的アクセス管理
従来のアクセス管理の限界
これまでの企業では、部門や役職単位でサーバーやフォルダへのアクセス権を一括付与することが一般的でした。しかし、この方法には以下のような問題点が存在します:
– 実際には不要なアクセス権限が付与されているケース
– 本当に必要な人への権限付与が例外扱いになるケース
– セキュリティと利便性の両立が困難
デジタル時代のビジネスに求められる俊敏性に、従来の画一的なアクセス管理では対応できなくなっています。
業務範囲に基づく細やかな権限制御
新しいアプローチでは、部門や職種という大きな単位ではなく、個々のユーザーの実際の業務範囲に着目します。具体的には以下のような取り組みが必要です:
– ユーザーごとに必要なファイルやデータを特定
– 業務に応じた最小限のアクセス権限の付与
– 権限の過不足をユーザー単位・データ単位で解消
このような細やかな制御により、不正行為の機会を最小化できます。実施にあたっては、IT部門だけでなく事業部門の協力も不可欠です。組織全体で取り組むことで、ビジネスのスピードを損なわずにセキュリティを強化できます。
ハイブリッドワーク時代のユーザー行動分析
可視性の課題への対応
ハイブリッドワークの普及により、管理者が従業員の行動を直接観察することが困難になりました。これは内部不正対策において大きな課題となっています。従来の目視による監視から、システムによる自動モニタリングへの移行が必要不可欠です。
イベント分析から分析への進化
単純なログ分析では、正常な業務と不正行為の区別が困難な場合があります。ブエナヴィーダ株式会社が推奨する「行動分析」では、以下の点に着目します:
– 通常の行動パターンからの逸脱を検知
– 異常な行動の自動識別
– リスクの高い行動の早期発見
ただし、モニタリングの実施においては、従業員のプライバシー保護を最優先に考慮する必要があります。法的要件を満たし、倫理的な配慮を行いながら、効果的な監視体制を構築することが重要です。
セキュリティの当事者意識を醸成する教育プログラム
従来の教育プログラムの問題点
多くの企業で実施されている年1回の画一的なセキュリティ教育では、以下のような課題があります:
– 経営層やIT部門のセキュリティに対する本気度が伝わらない
– 最新の攻撃手法の理解に偏りがち
– セキュリティルールの周知という本来の目的が希薄化
新しい教育アプローチの提案
効果的なセキュリティ教育プログラムには、以下の要素が必要です:
**頻度と形式の工夫**
– 年1回の大規模研修から、小規模で頻繁な教育への転換
– クイズやゲーム要素を取り入れた親しみやすい内容
– 短時間で学べるマイクロラーニングの活用
**メッセージの明確化**
– セキュリティルールの重要性を明確に伝える
– 各従業員が企業セキュリティの一翼を担っていることを認識させる
– 「自分事」として捉えられるような具体的事例の活用
**継続的な意識向上**
– 定期的なリマインダーの送信
– 部門ごとのセキュリティ課題に特化した教育
– 成功事例や失敗事例の共有
実装における重要な考慮事項
組織的な取り組みの必要性
内部不正対策は、IT部門だけの課題ではありません。効果的な対策の実現には、以下の部門間連携が不可欠です:
– 経営層のコミットメントと支援
– 事業部門の積極的な参画
– 人事部門との連携による制度面の整備
– 法務部門との協力による法的リスクの管理
技術と人的要素のバランス
内部不正対策は、技術的な仕組みだけでは完結しません。以下の要素をバランスよく組み合わせることが重要です:
– 最新のセキュリティ技術の活用
– 従業員の意識向上と教育
– 組織文化の醸成
– 適切な監査とレビューの実施
まとめ:デジタル時代の内部不正対策の展望
デジタル化の進展により、企業の内部不正リスクは多様化・複雑化しています。ブエナヴィーダ株式会社が提案する3つのアプローチ(動的アクセス管理、行動分析、新しい教育プログラム)を実践することで、変化するビジネス環境に対応した効果的な対策が可能となります。
重要なのは、技術的な対策と人的な要素の両面からアプローチすることです。組織全体で内部不正対策に取り組み、従業員一人ひとりがセキュリティの当事者であるという意識を持つことで、より強固な防御体制を構築できるでしょう。
今後も企業環境は変化し続けます。その変化に柔軟に対応しながら、継続的に内部不正対策を見直し、改善していくことが、デジタル時代の企業セキュリティにおいて極めて重要です。
本記事の監修者

森下
調査責任者
ブエナヴィーダ株式会社
専門性
- 探偵業30年
- 社内不正調査年間100件以上
経歴
- 大手探偵事務所勤務
- ブエナヴィーダ株式会社にJoin
森下は、大手単事務所に20年以上勤務していた専門家です。ブエナヴィーダ株式会社では調査責任者として指揮しています。
社内不正調査については、その専門性を活かして年間100件以上を指揮しています。